相続した不動産の売却~空き家控除の特例とは?
先日、母が亡くなりました。母の遺産には父から相続した自宅不動産があり、母の相続人は長男の私だけです。 私には持ち家がありますので、母が一人で住んでいた自宅は空き家になります。 今後、誰も住む予定がなく、固定資産税もかかるため売却を検討しています。 売却した場合にどのような費用がかかるのか知りたいです。 自宅不動産の査定額は約5000万円です。
相続不動産を売却するときにかかる費用は気になるところだと思います。 相続した不動産を売却するときに、どのような費用や税金がかかるのでしょうか? まず、相続不動産の販売活動を行う不動産会社の仲介手数料がかかります。
不動産の仲介手数料は以下のとおり、宅地建物取引業法で上限額が決められています。
仲介手数料=(売買価格×3%+6万円)+消費税
自宅不動産が5000万円で売却できたとすると、
”仲介手数料”は(5000万円×3%+6万円)+消費税=約160万円となります。
次に、売却前に土地の測量が必要となります。
土地の測量費は、通常、売主の負担になります。測量の相場は大体50万円程度です。
また、今回、相続した不動産は相続により空き家となりますが、”空き家控除の特例”の要件を満たせば、”3000万円”の特別控除を受けることができます。
この特別控除の適用を受けるためには、不動産を売却する際に相続人が事前に家屋を取り壊さなければなりません。家屋の取壊費用の相場は大体200万円程度になります。
※ ”空き家の3000万円特別控除の適用要件”は複雑なため、要件については直接税理士にお問い合わせください。
ここから更に、税金の話になりますので少し話が難しくなります。
不動産を売却することで得た利益=譲渡所得に「所得税」と「住民税」がかかります。
もちろん、取得した金額より低い金額でしか売却できなかった場合、この税金はかかりません。
譲渡所得は以下の計算式で計算できます。
譲渡所得=収入金額-取得費-譲渡所得
※ 取得費は、不動産を購入したときの金額から経過年分の減価償却費を差引いたもの。
※ 譲渡費用は、売却する時にかかった費用。ex.仲介手数料、測量費、建物取壊し費用
今回の事案では、取得費を証明する資料が残っていませんでした。
証明する資料がない場合は、取得費の額は売却金額の5%で計算します。
仮に、5000万円で売却できたとすると、取得費は250万円になります。
譲渡所得は、
5000万円-取得費250万円-仲介手数料160万円-測量費50万円-建物取壊費用200万円=4340万円
となりますが、さらに今回は空き家の特別控除3000万円を差引けますので、
4340万円-3000万円=1340万円となります。
この譲渡所得に対して「所得税」と「住民税」がかかりますので、各々計算します。
所得税=1340万円×15.315%=約205万円
住民税=1340万円×5%=67万円
不動産の売買による税金の合計は約272万円となります。
最終的に相続した空き家を売却した後に残った金額は、
5000万円-仲介手数料160万円-測量費50万円-取壊費用200万円-譲渡税272万円=4318万円
今回の事案では、相続した空き家を売却することで、手元に約4300万円の現金が残ることになりました。
空き家特例を利用しない場合にくらべて、610万円の節税になっています。