相続分の放棄とは
相続分の放棄とは?
相続放棄と似た言葉で「相続分の放棄」というものがあります。
「相続放棄」と「相続分の放棄」2文字違うだけですが、実はこの2つの中身はまったくちがうものとなっているため注意が必要です。勘違いされている方も非常に多いです。
相続放棄との違い
相続分の放棄とは、遺産に対する共有持分権を放棄する意思表示をいいます。
これだけ聞いてもよく分からないと思いますので、細かく相続放棄との違いを
解説したいと思います。
相続分の放棄 相続放棄
時期の制限 特になし 相続開始を知ったときから3ヶ月以内
放棄の方法 特に定められていない 家庭裁判所への申立て
相続人の地位 失わない 失う
負債 引き継ぐ可能性がある 引き継がない
上記の表で重要なのは、相続分の放棄は相続人の地位自体を失うものでは無いため、
「相続財産の負債の部分は引継ぐ可能性がある」ということです。
よって、負債をも放棄したい場合は相続放棄の手続きをする事になります。
放棄した相続分は誰にいくの?
相続分を放棄した場合と相続放棄の場合では、他の共同相続人の相続分にも違いがでてきます。
例えば、Aが死亡しその相続人が
妻B、子供C、D、E
がいるケースで、Eが相続分の放棄と相続放棄をした場合どのようになるのでしょうか。
【Eが相続分の放棄をした場合】
この場合、Eの相続分は他の共同相続人に対し、その相続分率に応じて配分されます
つまり、Eの相続分が6分の1ですから
B→2分の1+(Eの持分6分の1×5分の3)=5分の3
C→6分の1+(Eの持分6分の1×5分の1)=5分の1
D→6分の1+(Eの持分6分の1×5分の1)=5分の1
となります。
【Eが相続放棄をした場合】
この場合は、Eは最初から相続人でなかったとみなされますので、
相続人はAとBとCの3名だけだったという事になり
B→2分の1
C→4分の1
D→4分の1
となります。
実務では特定の共同相続人に相続分を譲渡する「相続分の譲渡」が多く使われているようですが、「特定の人間に譲渡する事で他の共同相続人から何かいわれるのが嫌だ」
という様な場合に使われる事もあるようです。