生前贈与と相続税
贈与税と相続税の関係
贈与税は相続税の補完税としての機能を持ちます。
生前に財産が移転する時に発生する”贈与税”と、相続人の死後に財産が移転する時に発生する”相続税”は、二つを合わせて課税の目的を達成することができます。
そこで、相続人または受遺者が被相続人から生前贈与を受けていた場合には、その贈与財産を相続財産へ加算して、相続税として再計算することとされています。これを生前贈与加算といいます。
生前贈与加算の対象となる人
″相続又は遺贈等により財産を取得した人”が対象者となりますので、非課税財産のみを取得した人も、非課税枠内の生命保険金や死亡退職金等のみを取得した人も、取得財産が債務より小さく純資産価額がない人なども対象となります。
一方、生前贈与を受けた人(相続時精算課税制度の適用者は除く)がその被相続人から相続又は遺贈等によって財産を取得しなかった場合には、対象者とはなりませんので、この規定の適用はありません。
生前贈与加算の対象となる財産
″相続開始前3年以内に贈与された財産”が対象となります。
贈与税は相続税の補完税であることは先ほど述べましたが、そうであれば、生前のすべての贈与を加算の対象とすべきですが、課税技術上の観点から、相続開始前3年以内の贈与に限定することにしています。相続が開始した年に贈与されている財産の価額も加算することになります。
贈与時を基準として加算し、相続税の再計算をします。贈与税の基礎控除額110万円以下の贈与財産も加算することになります。贈与時に納めた贈与税額と、相続財産への加算による相続税の二重課税を調整するため、納付した贈与税額は、それぞれの相続人が納付すべき相続税の計算にあたって「贈与税額控除」として控除されます。