遺留分減殺請求とは
遺留分を侵害されたらどうすればいい?
遺言書によって、本来もらえるはずの相続分(遺留分)がもらえなくなってしまった場合に、自分の遺留分を侵害した相続人に請求する権利のことを、遺留分減殺請求権といいます。
減殺請求の方法は簡単で相手方に通知するだけです。しかし、話し合いで解決しない場合は、内容証明郵便で通知をしたり、それでも応じない場合は家庭裁判所などの調停をとおしてこれを解決することになります。
遺留分の制度は、遺留分を侵害している場合、全例でその贈与が無効になるというものではなく、遺留分を侵害されている人が遺留分減殺請求権を行使してはじめて侵害分を請求できるという形をとっています。遺留分減殺請求権は、相続の開始および遺留分の侵害を知った日から1年以内に行使しないと時効により消滅します。
遺留分減殺請求のルール
遺留分減殺請求の際には以下の2つのルールがあります。
①新しいものから先に減殺する。
遺贈と贈与がある場合は遺贈された分から先に減殺します。
複数の贈与がある場合は、最近の贈与から先に減殺します。
②複数の遺贈がある場合はその価額の割合に応じて減殺する。
遺留分に関するQ&A
Q:父の死後、父の部屋から公正証書遺言が見つかりました。遺書書の内容を確認したところ、母と私以外の兄弟に資産を全て相続させると書かれていました。私は父の遺産を相続することはできないのでしょうか。
A:遺留分がありますので、遺留分の範囲で相続する権利があります。
民法が、配偶者、直系卑属、直系尊属に遺留分を認めていますから、子であるあなたには、母と他の兄弟に対し遺留分減殺請求をし、遺留分の範囲で相続財産を受け取ることができます。
Q:先日、兄が亡くなりました。兄に子はおらず、既に両親も他界しております。兄の相続人は妻と弟と妹の3名です。ところが、兄は遺言書を残しており、遺産はすべて妻に相続させると書かれておりました。兄弟である私には遺留分は認められないのでしょうか?
A:兄弟姉妹には遺留分は認められません。
特定の相続人には、最低限度の遺留分を受ける権利が認められていますが、その対象となる相続人に兄弟姉妹は含まれておりませんので、被相続人の弟であるあなたは遺留分減殺請求はできません。
Q:遺留分減殺請求はどのようにするのですか?裁判所に申立てを行う必要はありますか?
A:特に決まりはありませんが、内容証明郵便で請求をすればよいでしょう。
遺留分を侵害されている相続人は、侵害している受遺者、受贈者、他の相続人に対して遺留分減殺請求をすることができます。遺留分は請求しなければ取り戻すことができません。