相続と遺贈と贈与の違い
自分の持っている財産を無償で誰かに移転させる行為として「相続」「遺贈」「贈与」の3つの方法があります。
ここではその3つの違いについて説明したいと思います。
相続とは
「相続」はこの3つの中で一番耳にすることの多い言葉だと思います。
「相続」とは自分が亡くなった時に、自分の財産が家族などの相続人に引き継がれることをいいます。
ここで、亡くなる人のことを「被相続人」、財産を引き継ぐ家族などを「相続人」と呼びます。
財産には自宅不動産、預貯金、株式、自動車等のプラスの財産と借金などのマイナスの財産があります。
これらの財産はプラスマイナス関係なく、被相続人が亡くなった時にすべて相続人が引き継ぐことになります。
相続を放棄することも可能です。
そして、このことを「相続」と定義しており、それゆえ「相続」は、亡くなった人の意思とは無関係に、自動的にはじまる受動的な概念となります。
遺贈とは
「遺贈」という二つ目の言葉ですが、これはあまり聞きなれない言葉かもしれません。
「相続」が亡くなる人の意思とは無関係に財産移転するのに対し、「遺贈」は遺言書を残すことによって、亡くなる人の意思で誰にどの財産をあげるのか自分で決めることができるという能動的な財産移転です。
このとき、財産を残す相手は法定相続人以外の第三者を指定することもできます。
贈与とは
3つめの「贈与」という言葉は上の2つとは全く違った概念です。
というのも「相続」と「遺贈」は被相続人が「亡くなった後」の財産移転であるのに対し、「贈与」は被相続人が「生きている間」の財産移転です。
財産を「贈与」する者が生きているわけですから、「贈与」は必ずあげる側ともらう側の双方の合意(契約)があります。
まとめ
このように、財産の移転ひとつとっても、贈与する者が生きているか死んでいるか、遺言書があるかどうかによって、言葉の定義も異なり、当然それに伴う手続きやかかってくる税金も変わってきます。
法律の手続きにはこのように専門用語がたくさんでてきて、ひとつひとつ覚えるのが大変ではありますが、こうした用語を身につけることでよりよい相続税対策につなげることができます。